永遠の色を重ねて
優しい月


 季節は巡り、夏が来て、秋が来て、冬が過ぎ、再び春を迎えようとしていた頃でした。


「──えっ…アメリカに転勤?」


 久しぶりの休日。学生時代からの恋人・今野 星慈(コンノ セイジ)からの衝撃的な告白に、私は驚きました。


「ああ。正直、いつまでかも分からない。すぐに帰ってこれるような距離じゃないし…」


 これまでにも何度かそういった話は出ていたのですけれど、彼はその都度断ってくれていました。


 こうして改まって言うのは、今回は行かざるを得ないということ。


──決断を迫られているということです。


「…優月。」


「はい。」


「俺は優月を愛してる。これから先も、一緒に生きるなら君がいいんだ。だから…」


 星慈は一瞬目を閉じ、そして言いました。


「──俺と来てくれないか?」



< 41 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop