永遠の色を重ねて


「これって…」


 見間違いようがありません。この一年間、ずっと見てきたものですから。


「開けてみて。」


 緊張しながらそっと包みを開けます。


 目に飛び込んできたのは鮮やかな黄色。菜の花で描かれた、お月様の絵でした。


──あの時、頼まれた花。


 同封されていた手紙には、こう書かれていました。


『以前名札を見て、素敵なお名前だと思いました。
綾瀬 優月さん。
貴女の笑顔は人々を優しく照らす、月明かりのようです。
今までありがとう。
お元気で。

──花咲爺さんより』


 読み終えたとき、せっかく堪えていた涙が溢れ出して止まらなくなりました。


──貰ってばかりだと思っていた私に"ありがとう"と言ってくれる人達が居る。


 何でもないようなその事が、私にとっては最高に嬉しかったのです。


「皆さん…本当に、ありがとうございました…っ!」















まあるい、まあるい、お月様。


永遠に色褪せないその色は


今でも私を見守ってくれています。















…おしまい。





< 49 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop