永遠の色を重ねて
「これって…」
見間違いようがありません。この一年間、ずっと見てきたものですから。
「開けてみて。」
緊張しながらそっと包みを開けます。
目に飛び込んできたのは鮮やかな黄色。菜の花で描かれた、お月様の絵でした。
──あの時、頼まれた花。
同封されていた手紙には、こう書かれていました。
『以前名札を見て、素敵なお名前だと思いました。
綾瀬 優月さん。
貴女の笑顔は人々を優しく照らす、月明かりのようです。
今までありがとう。
お元気で。
──花咲爺さんより』
読み終えたとき、せっかく堪えていた涙が溢れ出して止まらなくなりました。
──貰ってばかりだと思っていた私に"ありがとう"と言ってくれる人達が居る。
何でもないようなその事が、私にとっては最高に嬉しかったのです。
「皆さん…本当に、ありがとうございました…っ!」
まあるい、まあるい、お月様。
永遠に色褪せないその色は
今でも私を見守ってくれています。
…おしまい。