永遠の色を重ねて
──他の患者さんのお世話や事務仕事があまりない時はそのお手伝いをしてあげてほしい。
それが私に与えられた役目でした。
当然、看護士らしくないお仕事内容に初めはとても戸惑いました。けれど人はすごいものです。一週間も経つ頃には、私はすっかりこの生活に慣れていました。
「そろそろこちらも乾かしますか?」
「ああ、よろしく頼むよ。」
花びらを一枚一枚丁寧に貼っていく光崎さんの横で、私は重たい洋書のページを捲りました。
その本は読む為のものではなく重石の代わりです。間にはティッシュペーパーに挟まれた花びらが無数にありました。
それを窓辺の紙の上に並べて乾かすと押し花の完成。絵を描く為のパーツが出来上がるという訳です。