永遠の色を重ねて
土岐さんの身体を支えながら、私達は陽の当たる木のベンチに座りました。
「いつも付き合ってくれてありがとうねぇ。」
「いえ。私に出来ることでしたら、何でもおっしゃって下さい。」
私はずっと看護士になるのが夢でした。皆さんの役に立ち、笑顔を見れることが何よりも嬉しいのです。
「…そうだ。よろしければ今日も、お話を聞かせて頂けますか?」
中庭に来る度、土岐さんは色々なお話を聞かせて下さいます。ご自身の経験や昔話、絵本や童話など。その話題の豊富さには誰もが驚かされます。
「ええ、喜んで。そうねぇ…じゃあ、今日は『長靴をはいた猫』というお話にしましょうか。」
土岐さんは少女のような無垢な笑顔を浮かべ、ゆっくりと語り出しました。
「昔々、あるところに…」