SIGHT
逃亡
甘ったるいモノが体中を支配する。

味覚がマヒするという現象は今まで味わった事はないけれど、まさにこれがマヒした状態だとはっきり分かる。



隣で美味そうにこの得体の知れない暗黒をグビグビ飲み干すやつは完全に手遅れだと思った。



「明日行くぞ。」


飲み終えて空になったカップをデスクに置くと急に顔付きが変わる。



「この写真の相手の所にか?」


「他にどこか行く場所あるか?警察にノコノコこんな写真撮りましたとでも渡しに行くつもりでもないだろう。」


「それは勘弁。でも家も名前も知らねぇだろう。」


「明日考える!」


真剣なのかふざけているのか判断し難い奴だ。
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