春・紅茶・春
「何探してんの?」

「へ?」

確実に、何か怒られると思っていた私は、あまりにも意外だった黒木くんの言葉に呆然とした。

「ずっと本棚みてるし。何か探してんじゃないの?」

「てっ…テストの成績が悪くて。介護福祉の…レポートを提出する事になって。」

声がひっくり返る…。
しかも!テストの成績の事まで言わなくてよかったのに!
黒木くん頭良いし…絶対バカにされる…!

テストがあった時、必ず成績が廊下に張り出される。
黒木くんは今回のテストで学年2位だった。

「あそこ。」

黒木くんは反対側の本棚を指した。

「あそこの本棚。下から4段目にある。」

そう言い残して図書室を出ていってしまった。

黒木くんと、まともに話たの初めてかも…。

私はしばらく呆然としていたが、ハッと我に返って黒木くんが指した本棚を見てみた。

下から4段目…。
下から4段目…。

「これかな?」

そこには<世界の介護福祉>と書かれた本があった。

た…助かった…。

私はホッとして、その本を借りた。

でも…。なんでこの本が、あそこにある事知ってたのかな?

しかも私<介護福祉>って言っただけで<世界の介護福祉>って言ってないのに…。

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