春・紅茶・春
なぁんて。
ありえないっつーの。

黒木くんに教えてもらった本のおかげて、レポートはスムーズに進み、期限の前に提出する事ができた。

「信じられん…。いつも期限ギリギリの暁が…。」

先生はあからさまにビックリしている。

「私だってやれば出来るんですよ♪」

「なにを言っとるかぁ!赤点常習犯が!」

先生は提出したレポートで私の頭を叩いた。

「にしても…。教科書に載ってない事まで詳しく書いてあるなぁ。」

パラパラとレポートを読みながら言う。

「あっ!これを見たんですよ☆」

私はカバンから本を取り出して見せた。

「あれ?この本、図書室の倉庫にあったはずだぞ?」

倉庫?

「普通に本棚にありましたよ?」

だって倉庫にあるなら、黒木くんが見つけるわけないし…。

「いやいや。この本は先月、俺自身が倉庫に片付けたんだよ。」

え?
でも…いや…まさか。
…黒木くんが…わざわざ探してきてくれた…とか?

いやいや!ありえない。図書室に行くまで、介護福祉のレポートの事は、黒木くんは知らなかったんだし。

「きっと、他の先生か生徒が間違えて出して来たんだろ。倉庫に戻しといてくれよ。」

「はぁい。」

先生から本を受け取って、私は図書室へ向かった。
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