春・紅茶・春
そして…。
事件は突然起きた。

「では、2人1組みになってお互いの似顔絵を書いて下さい。」

1学期最後の美術の時間だった。

「琴子ぉ!一緒に組もうよ♪」

スケッチブックを持って里桜がやってきた。

「いいよぉ。一緒にやろぉ。」

私と里桜は向かい合うために、机をずらし始めた。

「あっ。暁さん!」

美術の先生が私を呼び止める。

確実に嫌な予感がする…。

「暁さんは、黒木くんと組んでくれるかしら。」

…やっぱり。

「えぇ!?でも琴子は私と組んだんですけど!」

よし!いいぞ里桜!

「そう言わないでさ。ふたりとも美術の成績!色付けるからさ♪ね?」

ば…売春ですか!?

「じゃっ!琴子。私違う子と組むから♪」

変わり身はや~い…。

「ごめんね。暁さん。」

「…いいですよ。」

私はスケッチブックを持って黒木くんの席に向かった。

大丈夫。この前、普通に話せたもん。

そう自分に言い聞かせた。

「黒木くん。一緒に組まない?」

「…。先生に頼まれたの?」

つぅか、先生…バレてるよ。

「まぁ、いっか。座れば?」

「ありがとう。」

私は黒木くんの前にあった机を向かい合わせて座った。
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