春・紅茶・春
「琴子ぉ?お~い、聞いてる?」

里桜の声にハッと我に返った。

「え?なに?」

「も~っ!聞いてなかったでしょ!」

ムスッとしながら、里桜はミルクティを飲む。

よくあんな甘いモノを飲めるもんだ…。

「テスト勉強してる?って聞いたの!」

「……テスト?」

「……。来週、中間テストだよ?」

「あぁ!」

すっかり忘れていた。
そもそも、学校は何かにつけてテストをしたがる。<入学おめでとうテスト>とか<休み明けテスト>とか…。

学力をそんなに調べて、一体何に使おうというのか。

「忘れてたでしょ…。琴子は学級委員なんだから、あんまり成績悪いとクビになっちゃうよ?」

意地の悪い顔で私を見る。

「成績と学級委員は関係ないじゃん。学級委員だって好きでやってるわけじゃないのにさ!」

私の名字は[暁]。誰も学級委員に立候補しなかったために、<出席番号・1番>というだけで、押し付けられてしまったのだ。

にしても、元々成績は悪い。

2年生の時に受けた進級テストは、徹夜までしてやっと赤点ギリギリだった。

<学級委員>という立場を抜きにしても、このままだと確実に赤点だ。

「里桜。あのさぁ…。」
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