おたく王子
眠れない夜
斉藤朝日は暗い天井を見つめていた。
時計はもう午前一時を指している。
ごろんと寝返りを打ち、より楽な体勢を探す。
枕の位置をずらす。
深呼吸してみる。
心を無にしてみる。
・・・・。
・・・・・。
「あーっ!もうっ!」
苛立った声を上げて朝日は布団を蹴飛ばした。
ガバリと体を起こす。
「駄目だ・・・眠れない・・・」
ベッドに入ってからもう三時間は経つ。
眠くないわけではないのに、何度眠ろうとしても寝つけなかった。
「はあ・・・」
朝日はため息をついた。
眠ろうと思えば思うほど眠れなくなる。
というか、もう眠ろうとすることに疲れてしまった。
「・・・よし」
朝日はベッドから降りると机の上にあった財布を手にした。
どうせ横になっていても眠れないのだ。
コンビニにでも行って気分転換しよう。
朝日はそう考えた。
コンビニまでは歩いて10分くらいかかる。
軽く歩けば少し疲れるし、帰ってきたら眠れるよね・・・。
朝日は財布の中の小銭を確認して家を出た。