おたく王子
野上眞子だった。
是人と言い合っている最中だったため、眞子のおっとりペースに上手く対応できず、ぎこちなく挨拶した。
「あ、うん。よろしく・・・」
「朝日ちゃんの隣になれるなんて嬉しいな。これから学校に来るの楽しみ」
「・・・」
朝日は戸惑った。
さっきから何なんだこの子は。
別に私は大したことなんてしていない。
みんなが話を聞いていないのがムカついたから注意しただけ。
それなのにニコニコ感謝してきて。
席が隣になってニコニコ喜んで。
恥ずかしいんですけど・・・。
「あれ?なに赤くなってるんですか?斎藤さん」
朝日がハッとして隣を見ると、是人が不思議そうに顔を近づけていた。
超!至近距離で目が合う。
・・・近っ!!!
「きゃああああーッ!」
バシィッ!!!
「な・なんで・・・」
是人ははたかれた頬を押さえながら机に突っ伏した・・・。