おたく王子
素直になれない
囚われのお姫様は、今にも怖い怖いモンスターに食べられそうでした。
モンスターは涎を垂らしながら、大きな口をお姫様に近づけていきます。
お姫様は悲鳴を上げました。
「誰か助けてー!!」
その時。
ザンッ!
お姫様の体を掴んでいたモンスターの腕が突如切り離され、宙に浮かびました。
「ぐああっ!」
モンスターの低い唸り声が轟きます。
お姫様の体は投げ出され、地面に向かって一直線。
「きゃああっ!」
パシッ!
ふんわりと抱き止められた感触に目を開けると、なんとお姫様は王子様の腕の中にいるではありませんか。
「王子様・・・!」
「大丈夫ですか?君はここで待っていてください。僕はモンスターを倒してきます」
「え・・・?」
(なんか・・・どこかで聞いたことのある喋り方のような・・・)
お姫様は一瞬そんな風に感じつつも、勇敢にモンスターに立ち向かう王子様の背中に叫びました。
「行かないで!王子様!」
お姫様の悲痛な声に、王子様は立ち止まりました。
「大丈夫です。絶対に僕が守りますから」
そう言って王子様が振り向きました。
ボサボサ頭で目に掛かる長い前髪。
華奢な細い体。
身に纏った甲冑には、アニメの女の子のステッカーがびっしり。
「こ・・・是人・・・!?」
「行ってきます!斎藤さん!」
「きゃ・・・」