おたく王子
確かに言われてみれば、今まで眞子と何を話していたのか思い出せない。
自分でも気がつかない内に意識が飛んでいたらしい。
「ごめん・・・」
「ううん。私はいいんだけど・・・朝日ちゃんは大丈夫?」
眞子の優しさがじんわりと胸に染みた。
なんていい子なの・・・!
密かに感動しながら、教科書を全て机の中にしまって鞄を机の横に掛けると、朝日は体ごと眞子の方に向いた。
眞子ちゃんには心配かけたくない。
でも今更なんでもないと隠してもきっと怪しまれるだろう。
朝日はサッと教室内を見渡した。
よし。佐奈達の姿はない。
是人もまだ来てなかった。
朝日は一呼吸置いてからゆっくりと話し始めた。
「実は・・・」