おたく王子
「悪いけど斉藤さん。僕忙しいんです」
先に口を開いたのは是人だった。
是人は迷惑そうに顔をしかめて言う。
「は・・・?」
何を言われたのか飲み込めず呆然とする朝日に、是人はさらに言った。
「だから、僕は今『ロイヤルファンタジー』の攻略法を探してるんで・・・。だから、邪魔しないでくれますか?」
「・・・・・」
朝日は言葉をなくした。
ロイヤルファンタジー・・・?
攻略法・・・?
朝日には是人が何を言ってるのかさっぱりわからない。
けれど、是人が自分を邪険にしたことだけは理解した。
朝日の身体が熱くなる。
(こ・・・是人ごときが私を・・・)
朝日は持っていた雑誌を高く振り上げた。
バシッ!
「イタッ!」
朝日が勢いよく放った雑誌は、真っ直ぐに飛んで是人の顔面に命中した。
「な・・・なにするんですか!?いきなり!」