おたく王子
「いたっ!」
棚の影から、見慣れたボサボサ頭が出てくるのが見えた。
S高の制服を着ている。
間違いなく香山是人だった。
「やっぱり!!!」
朝日は心の中でガッツポーズを決めた。
是人からは目を離さない。
店内の是人は何かを抱えてレジに移動した。
店主と何か話ながら財布を出している。
(なんか買ってる・・・。まぁどうせマニアックな物だろうけど)
今レジに出しているアレを買うのが用事か、と半ば呆れながら、朝日は鞄のファスナーを開けた。
ここまでわざわざ是人を追いかけてきた目的。
それを再認識する。
「頑張って渡さなきゃ・・・」
朝日は鞄の底にしまってあったクッキーを手に取った。
・・・が。
「何これっ!?」