おたく王子
監禁
眞子は部活を終えて玄関を出た。
眞子は家庭部に所属している。
帰るついでに部活で出た家庭科室のゴミを捨てようと、体育館裏のゴミ置き場に向かった。
ドサッ。
ゴミをゴミ捨て場の中に置き、手をパンパン払う。
よし。帰ろう。
そう思って歩き出そうとした時。
誰かが話している声が聞こえた。
キョロキョロ周囲を見回す。すると体育館の隣にある駐輪場の隅で、女子生徒達が固まって話しているのが見えた。
眞子は特に気にもならなかったため、そのまま帰ろうとした。
しかし。
「それで・・・朝日がさ・・・・」
聞き慣れた名前が耳に飛び込んできて、眞子はすぐに足を止めた。
「朝日ちゃん・・・?」
眞子は聞き耳を立てながらそっと駐輪場に近づいた。見つからないように体育館の影に身を隠して息を潜める。
体育館の角から顔だけ出して話している生徒を見る。
あれ・・・。
うちのクラスの原田佐奈ちゃんだ・・・。
眞子はほとんど話したことはなかったが、クラス委員としてクラスメイトの顔と名前と仲良しグループはきちんと把握している。
でも、どうして佐奈ちゃん達が朝日ちゃんの話を?
佐奈ちゃんは朝日ちゃんと特別仲良しではないと思うけど・・・。
不信に思いながら眞子は佐奈達の話に集中した。
「ていうかさ、今日緑に頼んであるから」
「まじで!?佐奈なんて頼んだわけ?」
「まあ、簡単に言えば、どんなやり方でもいいから斎藤朝日とこないだ邪魔してきた香山是人を傷つけちゃってって言っといた」
「きゃはは!佐奈怖ー!」
「さすが佐奈ー!」
「だってアイツらムカつくじゃない」
「まあねー!」
え・・・・?
傷つける?
朝日ちゃんと是人くんを・・・?
眞子は耳を疑った。