おたく王子


眞子はさらに佐奈達の話に聞き入った。

佐奈達は眞子が聞いているとも知らずに話し続ける。


「てかこないだせっかくローファー隠したのに普通に取り返されちゃったよねー」


「あのキモオタが邪魔したせいでしょー。ムカつくよね」







え?




眞子は息を呑んだ。




ローファーを隠した?




どういうこと・・・?





眞子は先週朝日がしてくれた話を思い出す。

確かあの時、朝日ちゃんはローファーを無くしたって言ってた・・・。
それで是人くんが見つけてくれたんだって・・・。


眞子は戸惑った。
佐奈達が言っているのは本当なのか。
本当ならどうして朝日の話と噛み合わないのか。
傷つけるって二人に何をする気なのか。
次々と疑問が浮かぶ。

そして、居ても立ってもいられなくなってきた。

どういうことなのか知りたい。
二人に何かするつもりなら助けなきゃいけない。


眞子の真っ直ぐな性格が眞子を動かした。




「ねえ!」



眞子は体育館の影から飛び出して自転車置き場に向かって叫んだ。

佐奈達は驚いて話をやめて眞子を見る。
クラス委員に今の話を聞かれたかもしれないと思い焦った。

眞子はずんずん三人に近づいていき、真顔で口を開いた。



「話聞いてたよ。佐奈ちゃん、どういうことなのか説明して」


「な、なんのこと?」



佐奈はとぼけて見せたが眞子は表情を変えない。



「とぼけてもダメ。ちゃんと答えて」



厳しい口調で言う眞子の威圧に押され、佐奈は観念した。
ちっ、と舌打ちして投げやりに話し出す。


「だからさ、斎藤朝日の・・・・」





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