おたく王子
口ごもった朝日を、緑は鼻で笑った。
「なぁんだ。根拠もなく言ったの。ま、でも是人くんは弱虫くんだから、怖がって来ないってこともあるかもね~」
朝日は今の緑の言い草が引っ掛かった。
「まるで是人のこと知ってるみたいな言い方するじゃない」
朝日は嫌味っぽく言った。
なぜか今の緑の言葉に腹が立っていた。
でも、どうして是人のことを言われてイラッとしたのか、朝日は自分でもよくわからなかった。
しかし、その後緑が発したのは、意外な言葉だった。
「あ~。だって俺。是人くんとオナチューだもんね~」
「え?」
オナチュー・・・?
朝日は理解できずに首を傾げた。
緑は朝日のきょとんとした表情を見て、言葉を変えて言った。
「おんなじ中学だったってこ~と~よ」