おたく王子
朝日は緑に噛みつくように言った。
緑は舌を出して変な表情を作りながら話す。
「なんでって~。そんなことうちの中学のタメの奴らならだいたい知ってるよん。有名だもぉ~ん」
「有名?」
「是人くんがぁ~、間抜けで~暗くて~気持ち悪いやつだ~ってこと~」
言ってから緑はまた笑い声を上げた。
声が室内に反響する。
朝日は口をつぐんで下を向いた。
その様子に気づいて緑は笑うのをやめた。
怪訝そうに首を傾げて朝日を見る。
「朝日ちん?どうし―――」
「いい加減にしなさいよっ!!!」
突然の朝日の怒鳴り声に緑は体をビクッと震わせた。