残雪
だが、その悩みを破ったのはユリのほうからだった。
「先生は、ドライブ中一回も聞かなかったね。
どうして、泣いてたのかを。なんで教室から逃げて屋上に立ってたのかを・・・」
「・・・。誰にだって言いたくないことだってある。
誰にも話さず戦いとおすものだってある。話さないからこそ乗り越えられた山だってたくさんある。無理に聞くことは無い・・・」
「そっか・・・。」
「・・・聞くことは無いが、話を聞いてやることはできる。
自分が話したいって思ったときいつだって聞いてやる。それが俺だ。そうだろう?」
「うん・・・。あのさ、今話しても大丈夫・・・?」
そういって、ユリは車の助手席から俺の顔をみて質問してきた。
「だめだな・・・。」
「え・・・。」
なんで?さっき聞いてくれるっていったじゃんっていうような顔をしていた。
いや、そうじゃなくてだな・・・。
「そうじゃない。こんな密閉されて苦しい車の中じゃなくて、外で開放的で・・・安らげるところではなしをしようじゃないかってことだよ。」
「先生・・・。」