雪の降る日に
 

─なんでこんなに見つけられんだろ。
考え過ぎて、脳に全部、焼き付いてんのかな。
俺の全身で、七瀬を探すように出来てるんだろうか…。


七瀬は雪がまだ多く残る中、ゆっくりと歩を進めていた。
こちらから見ても判るほどに、慎重に。

前も見た。あの姿は。

七瀬は自転車通学だが、雪のせいでずっと歩いて帰っている。

雪が残ってる限り、ずっと歩いて帰らなきゃなんないんだ。


だから、早く雪、溶けねぇかなぁ…。



七瀬は門を出て、やがてこちらからは見えなくなった。





俺は曇った空を見上げ、白い息を吐いた。







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