雪の降る日に
「なんだ佐原かー。ばぁか、黄昏てなんかねぇよ」
俺は笑って答えた。
「なんだって事ないだろー?バスケ部の部長と副部長の仲じゃねーか」
佐原はそう言うと俺の首を捕らえている腕に力を込めた。
「あだだだだだっ、何すんだよ!」
俺はもがいた。
「副部長の佐原サマに冷たくしたバツだっつーの」
佐原はそう言いながらグリグリと力を込めてくる。
「ハッ、ばぁか!副部長なんかで威張ってんじゃねぇーよっ!」
俺も負けじと、佐原に応戦しようとした。が…
「あ…」
力が抜けた。
人混みの向こうから、あいつがやって来たからだ。
手には教科書を持ち、いつものように友達と笑い合いながら、
サラサラと髪をなびかせて歩いている。
「村上?」
いつものように応戦してこない俺を見て、佐原は手を離し俺の視線の先を追った。