雪の降る日に
 

次第に七瀬の体から力が抜けていくのがわかった。
目を開けて見ると、七瀬は固く目を閉じ、眉間にしわをよせ、嫌悪の表情一杯に染まっていた。


心が軋んで。


唇を離した。


「っはぁ、はぁ」


七瀬が乱れた呼吸を整えようと肩で大きく息をした。


それも、可愛く見えて。 

「な…にするの…」

七瀬は瞳に涙を溜めていた。
口元に当てている手が、震えている。



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