雪の降る日に
 

「七瀬…」

俺は七瀬の口元の手を取ろうとした。
バッと、払われる俺の手。


「いやっ…!放して!!」 

そう言って俺を見上げた七瀬の瞳からは、
涙が一粒流れた。


俺に、さっきより数倍強い衝撃が走った。



─俺、何した…?
七瀬泣いて…


さっきまでの、笑顔は……?




ぐちゃぐちゃになった頭の中。
ただはっきりしていたのは、七瀬の唇の感触で。 


触れたくて、もう一度。 


七瀬に。



< 30 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop