雪の降る日に
 

七瀬が去った後、俺はしばらく動けなかった。



月が、高々と空に登った頃。


部活を終えた連中の足音が聞こえ、やっと視聴覚室から出た。


7時を回っていた。
雪は、月の力も借りて、いつもより明るい世界を作っていた。



結構、積もっていて。

こんな雪の中、ボロボロの体で七瀬は帰ったのかと思うと、消えてしまいたくなった。








夢を見た。


暗闇の中、七瀬が俺の目の前で泣きじゃくっている夢を。





< 36 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop