雪の降る日に
 

「反応鈍いし、声のトーン低いし…ここ最近、本気で変だったし」

佐原はそう言うと、俺を見たまま手持ちの牛乳を飲んだ。



茶化すだけで終わらなそうな佐原の様子に、言葉が出てこない。



─昨日、その言葉を、七瀬の事を聞く前に言われていたら、

俺はお前に話してた。




七瀬のことが、すげぇ好きだ。

って──。


「さ……─っ…」

泣き過ぎた名残か。
鼻の奥がツンとした。


言いかけた言葉を呑み込んだ。
…何迷ってんだ、俺。


言うのか?

七瀬を




『犯したんだ』 って。













「─ッハハ、なんだよ佐原。
なんもねぇって!…昨日はほんと、悪かったな」 



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