雪の降る日に
「…では、今年の各部の予算はこのようにしたいと思います」
大した異議が出ることもなく、会議は済んだ。
俺は席を立とうとしたが、俺を含めたそんなヤツらを進行役は引き止めた。
「ちょっと待って下さい。
まだ、正式ではありませんが大まかな予算割り当ての紙を用意しました。各部室に貼って下さい」
一番前に座っていたことが幸いして、プリントを最初に手にすることが出来た。
「じゃあな」
俺は隣の友人に声をかけ、返事も待たずに足早に廊下に出た。
そして合同講義室の2つの入口をじっと見た。
七瀬を引き止めたかった。
謝りたくて。
そして、俺の気持ちを伝えたくて。
「おー村上」
後ろからの声。
振り向くと、バスケ部の顧問が立っていた。