雪の降る日に
「あ…どうも」
俺は礼をして、すぐ入口に目をやった。
何人か人が出てきていた。
「昨日は腹痛だって?もう大丈夫なのか?」
真鍋は話を続けた。
「はい、大丈夫です」
素早く返事を返す。
ここで七瀬を見失ったら、新たに接点を作ることは難しい。
「大会も近いからな、あまり休むなよ。
今日は来るんだろ?ちょっとメンバーについて相談があってなぁ…」
顧問はバスケ部員の名簿を捲り、指を指して俺に見せてきた。
「え…」
俺は焦った。後方から聞こえる、賑やかな声や足音が徐々に小さくなっていく。
「…ッ!すいません!今…用があるので部活の時にお願いします」
俺は礼をし、急いで振り返った。
シン…っと静まり返った廊下。
人影は、ない。
急いで教室を覗いた、が、会議を進行したやつらしかいない。