雪の降る日に
 


「ッ…クソッ…!」

言い放ち、俺は唇を強く噛んだ。



─どうしたら、会える?
もう、無理なのか……?


そう思った瞬間一気に力が抜け、そのまま壁に身を任せた。


嫌だった。
あんなことをしておいて、許してもらえるはずがないこと位、わかっていた。

けど、

好きだという気持ちも伝えられず終わるのは、嫌だった。



パサ……

手から、スルリとプリントが抜け落ちた。
床をスーっと滑っていくプリントを、ぼんやりと目で追った。
会議の進行役の言葉を思い出した。


『各部室に貼って下さい。』


「─ッ!」

プリントを拾って駆け出した。
可能性は低い。
けれど、もうこれしか方法はなかった。





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