雪の降る日に
七瀬は居た。
七瀬は壁に向かいプリントを画鋲で止めていた。
ピクン、と画鋲を留めていた手を止め、七瀬は振り向いた。
「ぁ…」
七瀬は小さく悲鳴をあげた。
俺を捉えた瞳は見開かれ、そのまま表情は怯えたものに変わっていく。
怯んだ。
目を逸らさずにはいられなくて目線を落とした。手に力が入り握っていたプリントがクシャっと、音をたてた。
「…七瀬…、っ俺…」
一歩踏み出し、意を決して七瀬を見た。
「─ッ来ないで……!!」
瞬間、七瀬は後退り壁に背を付けた。
「え……」