雪の降る日に
 



《わかりました。》


メールには、ただそれだけが書かれていた。

このフォルダに入っているどのくらいのメールが、この返信なのだろう。



携帯を閉じて、はぁ、と息をついた。



フォルダ7は、七瀬専用のフォルダだ。

以前の俺は、メールをわざわざフォルダ分けするなんて面倒なことしていなかった。



ただ単純に、七瀬は特別な人で。
他のやつとは一緒にしたくなかった。



あからさまに“七瀬”なんて名前を、フォルダ名にする事は出来ないから、
七瀬を思い出させるような“7”が入ったフォルダ7を選んだ。



七瀬だから、フォルダ7。


…子どもみたいな陳腐な理由で、自分でも笑える。


七瀬を捕らえてしていることは、決して子どもみたいな“こと”ではないのだけれど。






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