雪の降る日に
 

「なんだよ、そんな驚いて。
てか、なーんか最近村上ぼーっとしてる事多いよなぁ…」


「…え、いや?んな事ねぇよ?」



伏し目がちに佐原の読みをかわす。

佐原も俺と同じ中学出身だ。だから佐原は昔の七瀬を知っている。

俺が今、“七瀬の事が頭から離れない”
なんてことを言ったら、佐原はなんて言うんだろうな……


「おまえ、生物の教科書大丈夫だったのかよ」

俺はいつもの笑顔を浮かべ聞いた。

「おーギリギリセーフ。ったく文理選択で分かれると時間割かぶってくる教科もあんだなー」

ふう、と佐原は息をついた。

「てか教科書忘れんなよ。お前一応理系なんだからさ」

俺がそう言うと、佐原はむっとしたような顔をした。

「んだよーいいじゃん教科書くらい。それにお前こそ、明日忘れんなよー?」

ん?いきなり俺?

「…なんかあったっけ?」


“っかー、こいつはもう!”というような顔で佐原は俺を見た。


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