あたしの執事
短気な女
「じゃあ帰るか……ココロの両親とか心配してんだろ」
「うん……」
帰る……
嫌だ……怒られる……。
帰りたくない……。
「俺がちゃんとココロの親父さんとかに言うからよ」
凌ちゃんは、私の頭をヨシヨシってしてくれた。
「いい……の?」
「うん」
―・―・―・―・―・―・―・―・
「ただいま……」
ドタドタと廊下を走る音……。
いつもなら大好きな音なのに……今は恐怖の音。
「ココロ!!いつまで遊んでたんだっ!!」
パシン……
廊下に響く平手打ちの音……。
あれ……痛くない……。
平手打ちされたのは凌ちゃんだった。
違う……私を庇ってくれたんだ……。
「凌ちゃん……」
「ココロを……ココロさんを連れ出したのは俺です。すいませんでした」
そう言って凌ちゃんは頭を下げた。
それにつられて私も頭を下げる。