太陽と月
屋上との思い出に浸っていると長い授業は終わり、私はいち早く屋上へと向かう。
バレないように、遠回りをして。

今日もアスファルトを照らし続ける太陽。
さっきまで私を冷たく照らした太陽は優しく姿を変え、アスファルトと一緒に私を優しく照らす。

でも、やっぱり眩しいすぎる。
いつ見ても眩しいんだ、私には。
眩しすぎる。

ゆっくり目を閉じると赤と青、太陽と空が交互する世界。
誰もいない、誰の気配もしない、風の声だけ聞こえる。
この場所で一人で過ごす。それだけでよかった。
目を開くと無限に広がる青い世界。
ふわふわと少しずつ形を変える白い雲。
目を閉じると赤、オレンジに近い赤の世界。

ふと、雑音が風の声を過ぎる。

まるで人のイビキのような不快な音。

その音は大きくなって小さくなるの繰り返し。

…うるさい。

私は音のありかを捜そうとアスファルトから立ち上がる。

ここじゃない。
違う、ここでもない。

くまなく捜すと一つだけ見ていないところがあった。

そこは私も入ったとこがない階段を上るとある畳五枚くらいの空間。

あそこには満遍なく太陽が当たるから近づきたくなかった。
だけど音はあそこから聞こえる。

徐々に脆い階段へと近づくと予感的中。
雑音が聞こえた。
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