太陽と月
太陽の光を満遍なく浴びているだろう鉄の階段に勇気を振り絞って手を差し延べる。

「熱っ」
思わず、声が出る。
どうしよう、もしこの音が人のイビキで起こしてしまっていたら。

だけど、雑音が再び上から聞こえて安心する。

私はカーディガンを手の先まで伸ばし、よじ昇った。

足が滑り、急に上の空間へと体が運ばれた。

「きゃっ、…ん」
起こさないように口を抑える。

これまた予感的中。
あの不快な雑音はイビキだった。

と言うかこの状況で冷静でいられる私はやっぱり根暗だ。

目の前には人の寝顔。
私はその人に容赦なくまたがっている。
私は、ようやく状況を理解出来、ゆっくりと立ち上がり、その人の横に座った。
「はっ…、ん」
油断してた。
あんなに、太陽が満遍なく照り付けているって分かったじゃないか。

スカートを下にひかなかったため直火に熱が伝わった。

私は、スカートを下にひき座り直した。
起きてないか不安になりながら隣の人の顔を覗く。

形がよく適度に細い輪郭。綺麗で透明な白い肌。細すぎる眉毛。大きくて閉じてて分からいけど二重のあとがあるので恐らく二重の目。長くて艶やかな眉毛。まっすぐ筋が通った高い鼻。柔らかそうな形のいい唇。
これが世の中で言うイケメンっていうやつか。

だけど私は見逃してしまった。
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