太陽と月
…この人、私を睨んだりしないってことは私を知らないのかな。

なんて疑問に見つめていると頬に着いたご飯粒を口に入れ、
「ごちそうさま」

と大きくて逞しい手を顔の前で重ね合わせ低くて優しい声で言った。

…あ、私のお昼、それだけだったのに。

私は、慌てて購買に行き適当にパンを選んで列に並んだ。

すると少しの隙間に入ってニヤニヤとニヤける金髪の二人の女性。

「入ってもいいよね」
の言葉に逆らえず思わず俯いてしまう。
後ろからは大きな舌打ちが聞こえた。

…嫌、こんなの。

私はパンを買い、急いで屋上へと向かった。

再び、階段を昇った。

あと10分近くで授業が始まると言うのに、あの人はまだそこの空間で寝転んでいた。

勇気を振り絞って人見知りの私は、その人に声をかけた。

「あの…」
と消えそうな声で言うと、その人は目を開けて再び大きな目で私を見つめた。

私は、その人にパンを差し出した。

「あの…、買いすぎたんでどうぞ」

本当は計算して買ったんだけどね…。

その人は、
「ありがとう」
と、また低くて優しい声で言い、勢いよく袋を開けパンを味わうことなく食べた。

ようやく私もパンを食べ終わり、名前も知らない人に話しかけようとすると、
「ねえ」
と声が聞こえた。

呼ばれたほうを向くと、また大きな目で見つめられている。
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