彼に恋した夏(方言企画大阪弁編)
部活の帰り道だった小春ちゃんは本屋までついてきた。


俺は受験の参考書のコーナーに目を落とす。


選んだ参考書3冊を手に取った。

俺はレジで会計を済ませ
漫画コーナーを見ている小春ちゃんを呼びに行った。


小春ちゃんは
漫画を手に取り真剣に表紙を見ている。


『小春ちゃん』


『ほぇっ!?』

俺の声に驚いたように

小春ちゃんは慌てて
持っていた漫画を背中に隠した。


ん?

『何?なに見てたの?』

『え!!?何も見てへんよぉぉ?』

不自然に笑う
小春ちゃんの耳が赤い。

なんだ?
この慌てよう…


気になる…


太一くんが俺の後ろで言った。

『姉の趣味です…。直樹さんは見ぃひん方が良いですよ』


太一くんはそのまま
俺の背中を押して
本屋の出口まで誘導した。


小春ちゃんも漫画を戻して
トテトテと着いてきた。


『参考書、買ってもろてしまってすみません。』

太一くんが頭を下げる。

『いやいや、俺バイト代出てるし当たり前だから』

俺は笑う。
本当に礼儀正しい。


『太一くんは何か部活してたの?』

『あ…夏休み入るまでは剣道してました』


なるほど。

どうりでそんな感じだな


< 13 / 90 >

この作品をシェア

pagetop