彼に恋した夏(方言企画大阪弁編)
小春ちゃんが抱きついたまま

俺は手にした漫画の表紙を見た。


これ……





…ってか

抱きついたままはいかんだろ。


『…小春ちゃん』


俺は小春ちゃんの背中を叩く。


小春ちゃんは
ギュッと抱きついたまま
顔をあげない。



参ったな…


『小春ちゃん…とりあえず離してくれる?』


なだめるように言う。


『俺は…これに関して別に何も思ってないから』



小春ちゃんは
ゆっくり顔をあげる。


『ほんま…?』


ちょっと涙目の小春ちゃん



まぁ正直

…全く引いてない訳じゃないけど…


『大丈夫だよ…』


小春ちゃんは、ぱぁっと笑う。


『良かったぁ…!!!』


そのまままた
俺にギュッと抱きついた。


『ちょっ…!』

お~い コラコラ…っ!


お構い無く
俺にスリスリする小春ちゃん


『直樹くん…受け入れてくれてありがとう』



いや…

受け入れた訳じゃないけど…



小春ちゃんが
必死に隠していた漫画は…


いわゆる
ボーイズラブ系の漫画だった。




表紙の絵のキャラが
なんとなく俺に似てる。


『まさか…光ってコイツ?』


こくん…

小春ちゃんは頷く。


『…そうか』


なんとなく
ショックを隠せない俺…


『直樹くん…いい匂いやなぁ…』



『あのなぁ…』


マジで変態かよ。



『ふにゃふにゃ~』



ふ…ふにゃふにゃ?




小春ちゃんを見ると
幸せそうに、にんまり笑ってる。







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