彼に恋した夏(方言企画大阪弁編)
鉛筆を置いて

んん~…!!!
と伸びる小春ちゃん。


俺もようやく
リラックスする。


『だいぶ描けた?』



『うん!実は漫画ももう下書き描き始めてるんよぉ』


きゃぴきゃぴして

すっかりいつもの
小春ちゃんだ。


『へぇ。見せてよ』


俺がベッドから腰をあげると


小春ちゃんは守るように
スケッチブックを抱き抱える。


『恥ずかしいから見たあかん』



俺は
伸ばしかけた腕を止める。


小春ちゃんは
スケッチブックを守りながら
上目遣いで俺をみてる。



『…俺がモデルなんでしょ?』


何が恥ずかしいんだ。

俺は見る権利があるぞ。



『まさか…俺モデルであっち系描いてんの?』


あっち系=BL系


かなり想像したくないが…



小春ちゃんは
可愛く首を傾げる。

『内緒ゃ、そんなん』




まじか…


俺は力が抜けたように
ベッドに腰を落とす。




『中途半端は恥ずかしいねん。
完成したら初めては直樹くんに見せるから…ガッカリせんといて?』



小春ちゃんは
にこっと笑った。




そういう問題じゃ
ないんだけど…




小春ちゃんは
デジカメを手にした。


『直樹くん単体じゃないのも撮っていい?』



『…単体じゃないのって?』



俺は首を傾げて
小春ちゃんを見た。




パシャッ!!!


『うわっ…!?』


な…なんだ?


いきなりフラッシュを向けられ面食らう。



『ひゃあ~ッ
この表情、ずっとええなって思ってたん…やっと撮れたぁ!カッコいぃ~』


小春ちゃんは
デジカメ画面を見て
ひゃぁひゃぁと興奮している。




本当にこの子は…

さっきの子と同一人物なんだろうか…



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