彼に恋した夏(方言企画大阪弁編)
西陽が射し込む部屋。


シャッシャッ―…


いつものように、
鉛筆を走らせる小春ちゃん。



相変わらず、
別人みたいな表情だな。



ふと
小春ちゃんが手を止めて
俺を見た。



どき…


西陽で光る
小春ちゃんの真剣な瞳…


俺の―… 苦手な目。


心のガードが
無意識に強くなる。


いつもなら
しばらくして
また描き始めるのに

今日はまだ見てる。


目を反らしたい衝動を
堪えていると



ふいに
小春ちゃんの唇が動いた。


『…なに隠してるん?』


――…え?


小春ちゃんがジっと
俺を見据える。


沈黙の中…


小春ちゃんの瞳に
捕らえられたように

俺は動けない。



小春ちゃんは
スケッチブックを静かに閉じて続ける。



『10日くらい前から…
なんかうち、避けられてる。』


冷静な小春ちゃんの口調。


どくん

どくん…



バレてた。

なんでだ…?



心拍数が上がる…


とりあえず、
顔にだけは出さない。


これ以上
最悪な展開になりたくない。


『そんな事ないよ。』

俺は少し笑う。

上手く笑えてるはず。

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