彼に恋した夏(方言企画大阪弁編)
『直樹くんが…心配なんやもん…』


まっすぐ俺を見つめる

小春ちゃん。


『直樹くんが…
最近ずっと悲しい目してるからやんか。』


――俺が…?



まっすぐな
小春ちゃんの瞳が
小さく揺れる。


『うちのこと…
嫌ってもかまへん…。
ただ…直樹くんの悲しい目が気になるねん。』


小春ちゃんは
それだけ言って

俯いてしまった。




小春ちゃん…


俺…そんな目してたのか?


ずっと上手く
避けてたつもりだったのに…



ふと
視線を落とすと


小春ちゃんの足が
小さく震えているのがわかった。



小春ちゃん…


俺が悲しんでると思って


震えながらも
解決しようと
してくれてんの…?



俺のために…?





俺はもう一度
小春ちゃんを見上げた。


濡れたままの髪。


風呂入る間すらも

ずっと俺なんかのことで
悩んでくれてたのか…?


髪をふくのも忘れて…?


小春ちゃんだって
飯も食えないぐらい


俺の言葉に
傷付いてるくせに…



なのに…

俺を心配してんの?




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