彼に恋した夏(方言企画大阪弁編)
『…直樹くんの夢はなんなん?』


沈黙を消すように
小春ちゃんが聞いてきた。


夢…?

『ん―…なんだろうね?』


夢がはっきり分からなくなったのはいつからだろう。


『太一がさ、今まで剣道ばっかやったのに直樹くん来てから毎日勉強してるのお母さんもめっちゃ驚いてた。』


『そうなんだ?』


小春ちゃんは
頷きながらにっこり笑う。


『確かに俺自身
教えるのは楽しいよ』


これは
家庭教を始めてからの発見だった。


『向いてるんちゃう?』

『俺が?…先生とか?』


思わず笑う。

考えたこともなかった。

大学を出たら
俺はきっと普通に就職するんだろうなと思ってたから。


『ひゃあ~直樹くんが先生とか生徒めっちゃ羨まし~』


いつの間にか妄想の世界に
旅立った小春ちゃんが
手足をバタバタさせた。


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