彼に恋した夏(方言企画大阪弁編)
新大阪についた。


車に残るおばさんに
窓越しに礼を言う。


『本当にお世話になりました』


『気をつけて帰るんやでぇ。
お母さんによろしくね。』


小春ちゃんは
新幹線まで見送りに来てくれた。


切符を買う時まで
手を離さない小春ちゃん。


俺は小春ちゃんの分も
改札を通れるぶんだけの
切符を買った。


いっそ乗車券も
買いたいけど…。


小さな子供みたいに
俺にひっついて歩く小春ちゃん。


ホームにつくまで
喋らない。



新幹線がくるまで
あと少しだけ時間がある。


『小春ちゃん…』


俺は小春ちゃんに
向かい合った。



しばらくのお別れを
言う時がきた。


『……………』


胸が締め付けられて
言葉が見つからない。



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