どーるぷりんせす



‥それにしてもあの男、どっかで見たことあるんだよな。

なんだっけな‥。


一生懸命考えていると、結衣が俺に気付いた。


「祐くん!なんでここに居るの?!」


驚いている結衣に近寄る。
後ろから抱きしめると、みるみる赤くなる結衣の顔。


「‥結衣に触んな」

思いっきり睨むけど、その男は全く表情を動かさなかった。


‥本当になんなんだコイツ。

普通の奴ならこれで怯んで逃げていくのに。


「あ、彼氏?」


相変わらずの爽やかな笑顔で結衣に聞く。

こんなことできんだから彼氏以外ねーだろ。

心の中で冷たく突っ込みをいれる。


「‥うん」

はにかんで答える結衣。


「そうなんだ。お似合いだね。‥じゃあ俺は行くよ。また後で、花岡。」


スッと俺の横を通ったアイツは、笑顔に似合う爽やかな匂いがした。


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