どーるぷりんせす



あぶねー。
今の聞かれてたらハズすぎるって。



「じゃあそろそろあたし行くね。また夜メールする!」


「じゃあね」と笑顔で保健室を出ていく結衣。


保健室には俺1人となった。


「吉田健‥。あ!」


そうだ、思い出した!
グロスのCMに出てる奴だ!


確かイケメン若手俳優とかいって朝のニュースで特集されてた気もする。


「まじかよ‥」


そんな奴に勝てるわけねーじゃん。

俺はただの一般人だし?
なにか誇れるものを持っているわけでもない。

しいて言うなら趣味でやっているダンスだけ。


吉田健。

意外と手強そうな相手だ。

よく注意して見とかないと、結衣をとられるかもしれない。


「はぁ‥‥」


めんどくさいことになりそうだ。

いや、なってるのか。


でも絶対負けねー。

結衣だけは譲れない。


「吉田健、覚悟しとけよ」


グラウンドで走る吉田にそう呟いて、保健室を後にした。


< 138 / 221 >

この作品をシェア

pagetop