どーるぷりんせす
あぶねー。
今の聞かれてたらハズすぎるって。
「じゃあそろそろあたし行くね。また夜メールする!」
「じゃあね」と笑顔で保健室を出ていく結衣。
保健室には俺1人となった。
「吉田健‥。あ!」
そうだ、思い出した!
グロスのCMに出てる奴だ!
確かイケメン若手俳優とかいって朝のニュースで特集されてた気もする。
「まじかよ‥」
そんな奴に勝てるわけねーじゃん。
俺はただの一般人だし?
なにか誇れるものを持っているわけでもない。
しいて言うなら趣味でやっているダンスだけ。
吉田健。
意外と手強そうな相手だ。
よく注意して見とかないと、結衣をとられるかもしれない。
「はぁ‥‥」
めんどくさいことになりそうだ。
いや、なってるのか。
でも絶対負けねー。
結衣だけは譲れない。
「吉田健、覚悟しとけよ」
グラウンドで走る吉田にそう呟いて、保健室を後にした。