どーるぷりんせす
「───‥でね、明後日から撮影なの。」
最近日課になりつつある祐くんとの電話。
どんなに忙しいときでもこの電話は欠かせない。
『でも相手役は吉田なんだろ?まじむかつく』
相手が吉田くんだと言うことを伝えると、あからさまに機嫌の悪くなる祐くん。
「大丈夫だよ、ただの演技なんだから」
『でもやだ』
拗ねる祐くん、かわいい!
「あたしが好きなのは祐くんだけだから安心して?」
『‥ん』
受話器の向こう側の祐くんは少し機嫌が治ったみたい。
「じゃあ今からセリフ覚えなきゃいけないから切るね。また明日!」
『頑張れよ。じゃあな』
祐くんとの電話が終わると、あたしは早速台本を開いた。