どーるぷりんせす


──────────‥



「祐くん、今頃出発かな‥」


控え室で1人、時計を見つめる。

見送りに行きたいのはやまやまなんだけど、仕事は休めない。


だからおとなしく空を見上げてるだけ。


「またね、祐くん‥」


飛行機が通る度にそう呟く。


「‥‥ふっ」

やばい、涙が止まらない。

「祐‥くんっ」

会いたい会いたい会いたい会いたい


祐くんに会いたい。


やっぱり最後は会いたい。

会ってお別れしたい。


「鈴木さん、ごめんなさいっ!」


あたしは楽屋を出ると走り出した。

祐くん、待っててね
すぐに行くから!

< 217 / 221 >

この作品をシェア

pagetop