どーるぷりんせす




あたしは車の中でメイクを直す。


「結衣、今日はよくがんばったな。」


「うん。最初はどうなるか不安で焦ったよ。」


「でも最後はスラスラ答えられてたじゃん。‥まるで誰かを思い浮かべてたみたいに」


ニヤッと鈴木さんが笑いながら言った。


「べ、別に誰も思ってないです!」


鈴木さんはあたしの事をよくわかってる。


たまにあたしが思っている事を当てたりしちゃうくらい。


そんな鈴木さんに言われると、本当に心の中を見られてるんじゃないかって、すごく怖くなる。


でも、そんな鈴木さんだからこそお仕事が楽しいのかも。


何も言わなくても分かってくれて、さりげなくサポートしてくれてるから。


鈴木さんより素敵なマネージャーさんなんてどこを探してもきっと居ないだろう。



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