くもりのちはれ
でもそんなことは、
なんとも思っていなかった。
それよりみんなが持っている
正常な耳がうらやましかった。
友達がほしかった。
だから私は誰にもきずかれないように、
口の動きだけで
言葉がわかるように努力した。
話をしている人の
息の出し方や口の形を見て真似をした。
その結果、
今では普通に言葉が理解できるようになり、
自分の口で話すこともできるようになった。
でも過去のトラウマが、
私の中から消えたわけではなかった。