あたしの前だけ俺様王子☆
「おい」
俺はいつの間にか、そう声をかけていた。
あ、つい声出しちまった。
知らないふりして通り過ぎるって策もあったけど、どうやら俺は声をかけるほうを選択したらしい。
…まぁめんどくせぇことになんだろうな。
俺は舌打ちをしながら右手を上げて頭を掻いた。
自分のした行動に対して一気に後悔が押し寄せてくる。
俺が女と二人きりで会ったときには、今までのやつらはたいてい大騒ぎした。
握手してください、とか
写真撮ってください、とか・・・
まぁ、二人じゃなくてもだいたいみんな騒ぐんだけどな。
一番俺が嫌いなパターンだ。
いちいち対応がめんどくさい。
・・・とかなんとか、いまさら後悔したり嫌がったりしたって遅くて。
俺の目の前の女はバッと一気に俺のほうに振り向いた。